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マツの木の王子/キャロル=ジェイムズ/フェリシモ出版
マツの林のマツの王子が、そこに芽生えた一本のシラカバの少女を好きになります。まわりのマツは、マツの王子とシラカバの少女では身分が違いすぎると反対し、木こりにシラカバを切り倒させます.。その様子を見ていた王子は、このできごとに、すっかり心をうちのめされてしまい、ばったり倒れてしまいます。
ここにいたって、ようやくマツの木たちは自分たちのしたことを後悔し嘆き悲しみましたが既に遅く、マツの王子とシラカバの少女は木こりによって売りに出されてしまうのでした。といっても、二人は死んでしまったわけではありません。彫物師のおじいさんに引き取られて、木彫りのウマと銀色のシカに形を変えた二人の長い旅が始まります。
この寓話は、愛しあうということの、そしてそれを貫いていくことの素晴らしさを描いています。いつも、そしていつまでも一緒にいたいという純粋な気持ちこそが愛であり、それは人生の中で、なにものにも替えがたいものであるということが語られています。
一読したときにはお話の終わりがどうにも哀しく感じられましたが、読み返してみると、これ以上の幸せな終わり方は無いような気がします。精一杯生き抜いた上に、愛する人と穏やかに一生を終わる。これほど、幸せなことが、ほかにあるでしょうか?
この本は、1960年代に翻訳出版され、その後、絶版になっていたものを、フェリシモから復刊されました。
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