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宮沢賢治の謎 宮沢賢治の謎/宗 左近/新潮選書

 「〜の謎」なんていうと、表面的な話題性を狙っただけのもののようですが、これはほんとに真面目に宮沢賢治について研究した本です。そのうえ、ですます調で、平易な文章で書かれているので、著者の言わんとすることが、すっと頭に入っていく感じです。

 僕は、宮沢賢治の作品が大好きです。全集を揃えているほどなのですが、実は、作品の中に、いったい何を言おうとしているのかわからないものもありました。こちらの理解度に問題があるのだろうと思っていましたが、この本を読んでいて、実に眼からうろこが落ちた感じです。

 特に、詩(賢治は心象スケッチと読んでいます)に難解な印象を持っていましたが、この本を読み進んでいくうちに、なるほど賢治はこう言いたかったのかと思わず膝を打ちたくなるような部分が多くあり、賢治の作品が新たな意味、そして実はそれこそが、ほんとうであるところの意味をもって現れ出でた感があり、作品への感動がさらに深まった感じがします。

 この本は、知的な意味でスリリングな本です。そのうえ、とても平易に書かれています。
 宮沢賢治の作品を愛する人には、必ず読んでほしい本です。



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