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冒険者たち ガンバと15ひきの仲間/斎藤惇夫/岩波書店
国産の本格動物ファンタジイとして、代表的な作品は何かと言われたら、斎藤惇夫氏の書いたガンバとその仲間達の物語を挙げないわけにはいかないだろう。本作のほかに、続編にあたる「ガンバとカワウソの冒険」、姉妹編に「グリックの冒険」がある。
本作では、ドブネズミのガンバと仲間たちが、イタチと戦う島ネズミを助けるために、夢見が島へ渡り、獰猛な白イタチのノロイの攻撃を受けながら、知恵と力の限りをつくして戦う姿を描いている。
登場するキャラクターが、純日本的といおうか、生活感に満ち溢れ、時にして、それらがぷんぷんと匂ってくるほど強烈なのが極めて特徴的。舞台となる夢見が島は、僕のイメージでは瀬戸内海に浮かぶ小さな島と言う感じ。
可愛らしさ路線まっしぐらの大部分の動物ファンタジイとは一線を画すオリジナリティが、この作品にはある。
揃って宴会好きで酒好きなガンバ達に似合うのは、どんぶりや茶碗になみなみと注がれた日本酒である。口ずさむ歌は、やはり演歌だろう。
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