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ブリジンガメンの魔法の宝石 ブリジンガメンの魔法の宝石/アラン・ガーナー/評論社
ゴムラスの月 ゴムラスの月/アラン・ガーナー/評論社

 この2冊は、ガンダルフの孫さんに紹介していただいた作品で、それぞれのお話は独立してはいますが、主要な登場人物は同じで、「ゴラムスの月」は「ブリジンガメンの魔法の石」の続編と言えます。
 尚、図書館で借りてきて読んだので、王立図書館の蔵書リストには入っておりません。

 ファンタジイのテーマとしては、ありがちな善と悪との戦いがテーマですが、舞台を異世界ではなく、現代のイギリスのウェールズ地方(現代といっても、作品の発表が1960年なので、その頃のウェールズ)にとっています。
 平凡な兄妹が、「炎の霜」という魔法の宝石を手に入れたことから、太古から続く善と悪との闘いに巻き込まれてしまいます。魔法使い、小人、魔女たちが入り乱れての大乱戦。ファンタジイ好き」には堪えられない展開」が続きます。
 とりわけ特徴的なのは、よく見知った土地が本当は太古からの魔法的な場所だったり、、近所に住む人間が実は魔女だったりするところ。日常が実は非日常の裏返しで、現実は決して目に見えるとおりではないというのは、怖い話です。

 「ブリジンガメン〜」は、話しの進み具合がスロー・ペースですが、クライマックスの闘いの場面になるや、一転して、その迫力ある描写は、手に汗を握るほどです。
 ちょっと気になるのは、その闘いの描写が迫真なだけに、エンディングが唐突に訪れる感があること。こうした、一見、投げ出したような物語の終り方は、続巻の「ゴムラスの月」も同様で、この作家の特徴なのでしょうか。
 ガーナーには、このほかに、「エリダー(黄金の国)」と「ふくろう模様の皿」があり、もちろん、これらも読んでみないと、何とも言えませんが。
 但し、この2作品の場合、ストーリーの破綻ともいえる唐突な終り方も、逆に、あたかも伝承文学を読んでいるような印象を読者に与えるのに成功しており、そのぶん不思議な読後感が残ります。とても高等な手法だと思います。
 とはいえ、そういう理屈は抜きにしても、ファンタジイ・ファンとして、とても面白い愉しめる作品でした。






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